日本において季節の移り変わりを把握するために定められた暦日を『雑節』と言いますが、『入梅』は雑節の一つです。
今回は入梅の日にちや入梅の意味や役割について詳しく解説していきます。
2023年の入梅の日にち
2023年の入梅は6月11日です。
日にちは毎年6月11日というわけではなく、年によっては前後します。入梅の日にちがどのように定まるのかの解説は後ほど。
入梅とは?
入梅とはどういう日で、どういった役目ががあるのでしょうか。
入梅とは、季節の移り変わりを掴むために定められた『雑節』のひとつです。
入梅は雑節のひとつ
雑感は一般的には以下の9つが挙げられます。
- 節分:各季節(立春・立夏・立秋・立冬)の節目、季節が切り替わる前日。一般的に立春の前日のみを指す。
- 彼岸:春分(秋分)の日、および前後3日間を加えた7日間。
- 社日:春分または秋分に最も近い戊の日。
- 八十八夜:立春から88日目。遅霜が発生する時期。
- 入梅:太陽黄経が80°になる日。梅雨入りの時期。
- 半夏生:太陽黄経が100°になる日。農家にとって「畑仕事」「水稲の田植え」などを終える目安。
- 土用:四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間。現在では夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣がある。
- 二百十日:立春から210日目。台風などで天気が荒れやすく、農家の三大厄日とされている。
- 二百二十日:立春から220日目。二百十日同様、農家の三大厄日とされている。
節分・彼岸・八十八夜・土用などは現在でも風習が残っているので馴染み深いと思います。
元々は旧暦が年によって本来の季節とずれることがあったため、年により変動しない基準で定められたのがこれら雑節です。
旧暦は月の満ち欠けを暦に利用していたのに対し、雑節は太陽と地球の位置関係を基に定められています。
ちなみに、現在の暦(太陽暦)も地球と太陽の位置関係を基準としています。
詳細:新暦(太陽暦)と旧暦(太陰太陽暦)の違いとは?それぞれの仕組みを簡単に図解
入梅はなんのために定められたのか?
入梅は名前からわかると思いますが、『梅雨入り』を前もって把握するために定められました。
梅雨入りは農作物に影響を与えますし、田植えの日取りを決定するのにも重要だったので、農家にとっては『入梅』の日にちは特別な意味があったのです。
ただ、実際に入梅の日に梅雨入りになるというわけではありません。
入梅は年ごとに決まった日にちになりますが、梅雨入りは毎年各地の気象庁によって発表されるものです。
ちなみに現在の暦において梅雨入りと梅雨明けの目安については以下の通り。
地域によって左右されますし、年によって1ヶ月前後することもあります。
ただ、東日本では大体6月10日前後が平年の梅雨入りの目安なので、入梅の時期と梅雨入りの時期に大きなズレはありません。
入梅の日にちの定義
入梅の日にちの定義は時代とともに少しずつ変化してきましたが、最終的には「太陽黄経80°の日」となりました。
ここでは「太陽黄経」が鍵になるので、軽く説明します。
地球は自転しながら太陽のまわりを1年で1周しますが、地球が太陽のどこに位置するかで日本の季節(天候や気温など)は変化しています。
この変動を分かりやすく説明するために地球を一点に固定すると、太陽は以下のように地球の周りを回っていると考えることができます。
このとき太陽が通る見かけ上の通り道を“黄道”と言います。
そして春分の位置を0°として地球から太陽の見える位置の角度を太陽黄経というのです。春分が太陽黄経0°、夏至が90°、秋分が180°、冬至が270°です。
太陽黄経が80°になる日が入梅となるのです。
季節の特色は地球と太陽の位置関係の変化によって生じるものなので、太陽の位置で雑節を定めることで季節とのズレをなくすことができるのです。