新暦(太陽暦)と旧暦(太陰太陽暦)の違いとは?それぞれの仕組みを簡単に図解

現在、「1年は365日(うるう年は366日)」というのは暦の常識ですが、1872年以前は「1年は354日前後」と少し異なる暦が使われていました。

現在の新暦に対してこれを旧暦と言います。

今回は新暦と旧暦の違いやそれぞれの仕組みについて詳しく解説していきます。

新暦と旧暦の概要

  • 新暦
    • 概要: 地球の太陽に対する公転周期(約365.24219日)を基準に1年を定める太陽暦、うるう年で誤差を調節
    • 1年間の日数:平年は365日、うるう年は366日
    • うるう年の頻度:4年に一度(後述するが例外もあり)
  • 旧暦
    •  概要:地球の太陽に対する公転周期を1年の基準、月の満ち欠けを1ヶ月の基準と定める太陰太陽暦、うるう月で誤差を調節
    • 1年間の日数:平年は約29.5日×12ヶ月=353~355日、うるう月がある年は29.5日×13ヶ月=383~385日
    • うるう月の頻度:3年に一度
  • 新暦と旧暦の日付のズレの理由:旧暦は月の満ち欠けによって日付が決まるが、新暦はそれを全く考慮しないため

新暦(太陽暦)とは?

まずは現在の暦、太陽暦について説明していきます。

太陽暦とは地球が太陽の周りを約365日周期で公転するのを基準として1年を定めた暦法です。

ただし、実際の公転周期は365.24219・・・日となり、
同じ日付でも1年後には約0.25日、4年後には約1日のズレが生じてしまいます。

このズレを調整するため、
4年に一度をうるう年として2月29日を加えて1年を366日にします。

しかし、それでもズレが生じるので、
実際には以下の2つのルールで公転周期の小数点以下を調整しています。

  1. 西暦の年号が4の倍数になる年はうるう年
  2. 例外として100の倍数になる年の中で400で割り切れない年は平年

さらに詳しい説明は以下にまとめているので、ぜひご覧ください。

詳細:うるう年とはいつなのか?一覧と計算方法&仕組みを図解

旧暦(太陰太陽暦)

続いて、旧暦の太陰太陽暦について説明します。

太陰太陽暦は、太陽の公転周期に加え、月の満ち欠けを月日の基準とする暦法です。

月の満ち欠けの周期を朔望月と言います。
月の動きは複雑なため、この朔望月は29.27日~29.83日と幅がありその平均は約29.5日になります。

新月になる日を1ヶ月の始めの日と定め、
次の新月が来るまでの29日(30日)を12ヶ月経て1年となるようにしました。

つまり平年における1年は約29.5日×12ヶ月=353~355日となり、
10日程度公転周期とズレが生じてしまいます。

つまり、3年経つと約30日(1ヶ月)のズレが生じることになり、
同じ日付でも公転軌道上では1ヶ月前の位置にあることになります。

地球の季節は地球の公転軌道上の位置によるものなので、
このままでは日付と実際の季節がどんどんズレてしまいます。

そこで、このズレを調整するのに使われるのが“うるう月”です。

3年で約1ヶ月のズレが生じるので、
3年に一度、うるう月を加えて1年が13ヶ月となる年を作ったのです。

うるう月はいつ挿入されるのか

うるう月が挿入されるタイミングについてですが、
これは毎回規則的に3年に一度13月が挿入されるというようなことではなく、
少し複雑です。

簡単に説明をすると、
実際の季節と日付のズレが大きくなったタイミングでうるう月が挿入されます。

この季節とは、1年を24分割した“二十四節気”のことを指します。
代表的なものを挙げると、立春・立夏・立秋・立冬や春分・夏至・秋分・冬至などです。

夏至は北半球では最も日照時間が長くなる日で、
冬至は最も日照時間が短くなる日ですね。

これは地球の公転軌道を15°間隔で24に分割して定めたものです。

日付に関係なく、春分の日と定めた点を地球が通った日が春分となります。

他の二十四節気も同様で、
また現在の新暦においても同じように二十四節気が用いられています。

詳細:【2017年】二十四節気の一覧カレンダー|二十四節気とは?子供でも簡単な解説

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そして旧暦では『立春と雨水は1月』『啓蟄と春分は2月』と言ったように、
各二十四節気には何月の季節かというのが定められています。

しかし、太陰太陽暦においては実際の日付と公転軌道上の地球の位置はズレが生じるため、
春分が2月ではなく3月にずれ込んでしまうことが考えられます。

これを防ぐために、1月の次には「閏1月」を加えられるのです。

このように、二十四節気が次の月にズレ込みそうになった時、
その前の月との間にうるう月を挟むのです。

新暦と旧暦の違い

続いて新暦と旧暦の特徴を比べた時、
どういった違いがあるのかを説明していきます。

主に2つの特徴があります。

  1. 1年後の地球の位置
  2. 季節のズレ

1年後の地球の位置

前述しましたが、旧暦は1年が約355日で公転周期と10日程度の誤差があるのに対し、
新暦ではわずか6時間弱の誤差しかありません。

翌年でも同じ日付に同じ位置に地球があるというのは新暦の大きな特徴ですね。

季節のズレ

前項と少し被りますが、
季節と日付のズレがほとんどないというのは新暦の大きなメリットです。

地球は地軸の傾きにより、
公転軌道上のどこに地球があるのかで日照時間や気温など季節の差が生じます。

そして、公転軌道上の位置によって定められている二十四節気は、
季節の最たる指標といえるでしょう。

その二十四節気の日付は新暦では毎年±1日程度の誤差しかありません。

毎年日本で日照時間が最も長くなる夏至は6月21日前後、
日照時間が最も短くなる冬至は12月22日前後です。

それに対し、旧暦の日付は月の満ち欠けに依存するため、
日付で二十四節気などの季節を把握するのが非常に困難なのです。

あとがき

以上、新暦(太陽暦)と旧暦(太陰太陽暦)の仕組みと違いについてでした。

まとめると以下の通りです。

  • 新暦
    • 概要: 地球の太陽に対する公転周期(約365.24219日)を基準に1年を定める太陽暦、うるう年で誤差を調節
    • 1年間の日数:平年は365日、うるう年は366日
    • うるう年の頻度:4年に一度(例外もあり)
  • 旧暦
    •  概要:地球の太陽に対する公転周期を1年の基準、月の満ち欠けを1ヶ月の基準と定める太陰太陽暦、うるう月で誤差を調節
    • 1年間の日数:平年は約29.5日×12ヶ月=353~355日、うるう月がある年は29.5日×13ヶ月=383~385日
    • うるう月の頻度:3年に一度
  • 新暦と旧暦の日付のズレの理由:旧暦は月の満ち欠けによって日付が決まるが、新暦はそれを全く考慮しないため

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

また、新暦の日付から旧暦が一目で分かる旧暦カレンダーを作りました。
2017年(平成29年)旧暦カレンダー