正月飾りの中でも最も手軽に飾ることができる「鏡餅」ですが、何となく飾っている人は多いのではないでしょうか。
そこで今回、鏡餅を飾る意味や由来、きちんとした正式な飾り方などをご紹介します。
ぜひこの記事を参考にして正月の伝統的な風習を取り組みましょう。
目次
忙しい人のための「鏡餅」の概要
忙しい人のためにこの記事の概要をまとめました。
- 鏡餅を飾る意味:歳神様のお供え物・依り代
- 鏡餅の由来:平安時代の宮中での正月行事「歯固め」
- 鏡餅の名称の由来:昔は神聖な物とされていた円形の鏡
- 鏡餅を飾る日にち:12月13日~大晦日(特に28日が縁起がよく、29日・31日は縁起が悪い)
- 鏡餅を飾る場所:床の間が最も一般的だが、特に厳格な決まりはない
- 鏡餅を外す(鏡開きの)日にち:通常1月11日、関西は1月20日、京都や近隣の地域は1月4日
それではそれぞれ詳細に説明していきます。
鏡餅の意味や由来
まず、鏡餅が一体どういうものなのか、
なぜ飾るのか、どういう由来があるのかなどを説明していきます。
鏡餅を飾る意味
毎年、年が明けると家々に“歳神様がやってきて幸せを持ってきてくれる”と言われており、
そのために鏡餅などの正月飾りが重要になります。
鏡餅は歳神様へのお供え物であり、歳神様の依り代になるものなのです。
お供えをした鏡餅には歳神様の生命力や霊力が宿っているため、
これを鏡開きの日に食べることでその恩恵を頂けるという意味があるのです。
鏡餅の由来
平安時代に書かれた『源氏物語』に「餅鏡」の記載があり、
これが確認できる最も古い書物なので、この時代が起源になっていると考えられています。
当時は宮中の正月行事として、
餅鏡や大根、押し鮎、イノシシ肉などを食べていました。
これは“歯固め”といい、
「年齢という字に歯が含まれていることから、健康的に年をとるには歯が重要」
という考えのもと、健康や長寿を祈願した行事です。
この頃はただ食べるだけであった鏡餅ですが、
室町時代以降に床の間に具足(甲冑)とセットで鏡餅が備えられるようになりました。
鏡餅の名称の由来
なぜ「鏡餅」というのでしょうか。
これは昔の鏡の形が鏡餅と同様に円形だったことに由来します。
昔の鏡は円形でかつ青銅でできており、
神事に使われる神聖なものとされていました。
この神聖な鏡にあやかって「鏡餅」という名称になったというのが有力な説です。
また、鏡餅は三種の神器を模した物であるとも言われています。
円形の餅は八咫鏡(やたのかがみ)、橙は八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、串柿が天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)です。
鏡餅の飾り方(時期・場所・手順)
続いて、鏡餅の飾り方について、
何日に飾るべきか、どこにどう飾るのかなどを解説していきます。
鏡餅はいつから飾るべきか?
鏡餅は飾るのが早くても問題ありませんが、
基本的に他の正月飾り同様に松の内の期間に飾り始めるのが一般的です。
- 一般的な松の内の期間:12月13日~1月7日
- 関西の松の内の期間:12月13日~1月15日
※松の内の詳細はこちら
⇒松の内の期間はいつまで? 松の内の意味や由来とは?
正月になるまでに飾る必要があるので、
『12月13日~12月31日』の期間ですね。
ただし、この期間の中でも特に縁起が良い日、
縁起が悪い日などあります。
- 28日(縁起が良い):日本において幸運を意味する末広がりの「8」を含む
- 29日(縁起が悪い):『苦』を連想させる「9」が含む
- 31日(縁起が悪い):正月前日は慌ただしく、神様に無礼だと考えられているおり、「一夜飾り」や「飾り方が葬儀を連想させる」と言われる
特に事情がない場合、『28日』に鏡餅を飾るようにしましょう。
早く飾りすぎても常温で餅を置いておくとカビが生えやすいですからね。
鏡餅を飾る場所
鏡餅を飾る場所についてですが、
厳格な決まりはありません。
ただ、元々床の間に具足とセットで飾られるようになったのが由来なので、
“床の間”が最も適した場所と言えます。
畳の敷いてある座敷部屋ですね。
しかし、床の間がない家庭も多いと思うので、
その場合は大事だと思っている場所に飾りましょう。
具体的には、神棚や玄関、台所、リビングなどですね。
繰り返しますが、鏡餅を飾る場所に厳密な決まりはないので、
深く考える必要はありません。
複数の場所に飾っても大丈夫です。
鏡餅の飾る手順
鏡餅は様々な種類があり、
地方によって縁起物の装飾も変わってきます。
ここでは一般的な鏡餅の一つの飾り方をご紹介するので、
ぜひ参考にして下さい。
図のようにしてもらえばいいのですが、
言葉で説明すると以下のようになります。
- 三方の上に四方紅を置く(図のように三方の正面に四方紅の角がくるようにする)
- 四方紅の上に裏白の葉を正面に垂れさせる置く
- その上に餅を2つ重ねて置く
- 御幣を正面に垂れさせるように置く
- 橙を乗せる
- 末広を置く
御幣を餅の下に置いたり、末広を橙の上に置いたりする場合もよく見かけられます。
鏡餅の処分方法
続いて、鏡餅を取り外したり食べたりする際の時期や方法について説明します。
鏡餅はいつ取り外す?
門松やしめ縄など他の正月飾りは松の内の最終日に取り外しますが、
鏡餅は鏡開きの日に撤去して食べるのが決まりです。
ただ、松の内同様に地域によって鏡開きの日にちが異なるので注意が必要です。
- 一般的な鏡開き日にち:1月11日
- 関西の鏡開きの日にち:1月20日
- 京都や近隣の地域の鏡開きの日にち:1月4日
※詳細はこちら
⇒鏡開きの日にちはいつ?関東と関西の違い・行事の意味について
1月4日の地域を除いて、
通常は松の内の期間を過ぎて他の正月飾りを外してからも鏡餅は飾ったままにしておきます。
鏡餅はどうやって処分する?
鏡餅は鏡開きの日に食べるのが決まりです。
ただし、包丁などで餅を切るというのは切腹を連想させるため不謹慎とされており、
槌で叩いて割るのが一般的です。
食べ方については特に決まりはないので、
焼いて食べてもお雑煮に入れて食べて構いません。
あとがき
以上、鏡餅の意味や由来、飾り方、処分方法についてでした。
鏡餅は他の門松やしめ縄などの正月飾りよりも手軽に用意しやすいので、
初めての方でも、ぜひこの記事を参考に飾ってみてはどうでしょうか。
他にも正月飾りについて詳しくまとめているので、
ぜひご覧ください。