日本ではあまり馴染みがありませんが、日本を除く多くのアジア圏の国では「旧正月」は1年で最も特別な日とされています。
日本で言う「正月」が中国や韓国、ベトナムなどで「旧正月」にあたり、この前後が休日となり色んな行事が行われるのです。
ただ、旧正月の日にちは毎年大きく異なり、国によっても日付が異なることが厄介な点としてあげられます。
今回は各国の旧正月の日にちに加え、どのように日にちが変動するのか、その仕組などを詳しく解説していきます。
目次
2024年の各国の旧正月の日にち
2024年の日本での旧正月は『2月10日』です。
中国・韓国・ベトナムにおいても今年は日にちは変わりません。
旧正月は“旧暦の1月1日”のことを指しますが、この日付は毎年1月21日~2月20日ごろの間で変動します。
- 2022年:2月1日
- 2023年:1月22日
- 2024年:2月10日
- 2025年:1月29日
- 2026年:2月17日
- 2026年:2月7日
簡単に説明すると、上記の範囲内で“新月になる日”がこれに該当します。
旧暦(太陰暦)は月の満ち欠けを1ヶ月の基準としており、新月が毎月の頭になるからです。
ただ、旧正月は日本よりも海外において重要になる概念だと思いますが、海外だと時差があるため年によって旧正月の日にちが日本とずれることもあり注意が必要です。
旧正月の日にちの変化について詳しくは後述します。
旧正月とは?
では改めて旧正月とはどういうものなのか、正月とはどう違うのかなどを説明していきます。
旧正月とは旧暦におけるの正月(1月1日)のことです。
日本ではほとんど行事や風習は残っていませんが、中国や韓国、香港、台湾、ベトナム、モンゴルなどでは休日となります。
日本の正月と同様の扱いなので、年明けにちなんだイベントや行事が各国で行われるのです。
逆にこれら旧正月が休みとなる国では、日本の大晦日~正月(西暦の年末年始)は特別な日ではありません。
海外(アジア)の旧正月の休日
旧正月における海外の休日は以下のとおりです。
- 中国:一般的に旧暦大晦日~旧1月6日までの7連休
- 香港・マカオ:旧暦1月1日~3日までの3連休(日曜が含まれる場合は大晦日も休日)
- 台湾:旧暦1月1日~5日までの5連休
- 韓国:旧暦大晦日~旧暦1月2日までの3連休
- ベトナム:旧暦大晦日~旧暦1月3日までの4連休
他にも中国系住民(華人)の多い東南アジアの国では、旧正月をChinese New Yearとして祝われる風習があります。
シンガポールやマレーシア、インドネシア、ミャンマーなどですね。
ちなみに、旧正月は日本での名称ですが、国によって異なります。
中国語では「春節」、朝鮮語(韓国・北朝鮮等)では「ソルラル」、ベトナムでは「テト」という名称です。
特に中国の休みの期間についてはこちらにまとめています。
⇒【2023年】春節はいつ?中国の休みの期間はいつからいつまで?
旧正月の日にちはどのように変化するのか?
では、旧正月の日にちが毎年変化する仕組みについて簡単に見ていきましょう。
これについては旧暦(太陰太陽暦)と新暦(太陽暦)について簡単に把握する必要があります。
まず注目してもらいたいのは、一見不規則に変化する旧正月の日付も、以下のように意外と分かりやすい変化であるということ。
- 2016年:2月8日
- 2017年:1月28日(-11日)
- 2018年:2月16日(+19日)
- 2019年:2月5日(-11日)
- 2020年:1月25日(-11日)
- 2021年:2月12日(+18日)
- 2022年:2月1日(-11日)
- 2023年:1月22日(-10日)
- 2024年:2月10日(+19日)
()内は前年からの変化です。
1年後は10~11日早まり、3年に1回は18~19日遅くなるという規則が見られます。
これを踏まえた上で仕組みを見ていきましょう。
手っ取り早く説明すると・・・
地球が太陽の周りを約365日で1周しますが、現在の新暦においてこれを基準に1年を365日(閏年は366日)と定めています。
これに対し、旧暦の1年は「約29.5日×12ヶ月=353~355日」となるので、1年後の同じ日の地球の位置は約10日分ズレが生じており、これが新暦と旧暦のズレに繋がります。
この約10日分のズレにより、以下のように旧正月の日にちは通常10~11日ずつ早まります。
- 2018年:2月16日
- 2019年:2月5日(-11日)
- 2020年:1月25日(-11日)
ただし旧暦において、
「本来の季節と暦のズレが大きくなった時、閏月を挿入して調整する」
という仕組みがあります。
これは大体3年で1ヶ月分のズレが生じるので、約3年に1回の頻度で閏月が挿入され、1年が13ヶ月となるのです。
1ヶ月(約30日)挿入されたことで、約11日ずつ早まっていた旧正月の日にちは、30-11=+19日となり、大体18~19日遅れるのです。
- 2017年:1月28日
- 2018年:2月16日(+19日)
- 2019年:2月5日(-11日)
- 2020年:1月25日(-11日)
- 2021年:2月12日(+18日)
- 2021年:2月1日(-11日)
旧正月の日にちに限らず、旧暦と新暦の日付のズレは以上のような理屈で説明できます。
細かいところを言うと、閏月の挿入されるタイミングであったり、新暦のうるう年の仕組みなど説明不足ですが、長くなるので省略します。
興味があればこちらをご覧ください。
⇒新暦(太陽暦)と旧暦(太陰太陽暦)の違いとは?それぞれの仕組みを簡単に図解
国によって旧正月の日にちがズレる理由
旧正月は国によって日にちがズレることがあり、その場合2つのケースが考えられますが、大体が時差によるものです。
前提として、旧暦は1ヶ月を月の満ち欠けを基準としており、毎月1日は月が丁度、新月になる日を指します。
そうすると、同じアジア圏の国であったとしても、時差によって新月になった瞬間の日にちが異なることがあるのです。
たとえば、日本・中国・ベトナムの標準時間は以下の通り。
- 日本:UTC+9
- 中国:UTC+8
- ベトナム:UTC+7
中国から見ると日本は1時間早く日付が代わり、ベトナムは1時間遅く日付が変わります。
旧暦1月1日の基準となる新月になる瞬間が、日本の日付が変わって1時間以内、または中国の日付が変わって1時間以内に来た場合、これらの国の旧正月の日付にずれが生じるのです。
それぞれ単純計算で1/24、日本とベトナムの時差2時間の場合2/24なので、そこまで珍しいというわけではありません。
ただ、次に日付がズレるのは2027年(日本:2月7日、中国・ベトナム:2月6日)なので、だいぶ先です。
あとがき
以上、旧正月の日にちや各国の違いなどを紹介していきました。
新暦(太陽暦)、旧暦(太陰太陽暦)などという言葉が出てくると、難しそうで身構える人は多いですが、理解すると結構面白いものです。
日本では旧正月の文化はほとんどありませんが、十五夜やお盆など、旧暦に関する行事などが残っています。
話のネタにもしやすいので知っておいてそんはないでしょう。
ぜひこちらも合わせてご覧ください。