日本の各地では毎年6月~7月ごろに停滞前線が到来し、1ヶ月程度、曇りや雨が多くなります。この期間を梅雨と言い、梅雨をもたらす停滞前線を梅雨前線と言います。
今回は梅雨の定義やメカニズム、梅雨前線の仕組みなどを詳しく見ていきましょう。
梅雨の定義と基準
日本の各地では毎年6月~7月にかけて1ヶ月程度、曇りや雨が多くなる期間があり、これを梅雨と言います。
梅雨の期間は、全国を12分割した各地の気象庁が発表する梅雨入り~梅雨明けの期間を指します。それぞれの目安は以下のとおりです。(詳細はこちら⇒2019年の梅雨入り・梅雨明けはいつ?過去のデータと日にち予想)
毎年の梅雨入りと梅雨明けの日にちは次のようにして決まります。
- 梅雨入り・梅雨明けしたその日(休日なら翌平日)に速報値を発表
- 5月~8月の天気経過を見て9月に確定値を発表
梅雨入り・梅雨明けは毎年、速報値を発表しますが、それぞれ『梅雨入り宣言』『梅雨明け宣言』と言います。
梅雨入り・梅雨明けの基準
実は梅雨入りや梅雨明けには
「◯日以上雨が続いたら梅雨入り」
「こういう気圧配置になったら梅雨明け」
といった明確な基準はありません。
各地域における、これまでの天候と1週間後までの天気予報考慮して『初夏→梅雨』へと切り替わる境を推定して梅雨のはじめの日に梅雨入り、『梅雨→盛夏』へと切り替わる境を推定して梅雨明けを宣言します。
具体的には今後数日、雨や曇りが続く見込みならその初日を梅雨入り。
逆に今後数日、晴れが続く見込みならその初日を梅雨明けとします。
梅雨のメカニズム
つづいて、梅雨のメカニズムについて解説します。
なぜ日本では1ヶ月以上の期間、雨が多くなるのでしょうか。
簡単に説明すると、北からの寒気と南からの暖気がぶつかり合う境目では大気が不安定になるからです。
季節により寒気と暖気の勢力は変化しますが、6月~7月の時期にちょうどその境目が日本の上でせめぎ合うため前線が停滞して長い雨の期間が続くのです。
図で見てみるとこのようになります。
寒気と暖気の堺では大気が不安定になり、上昇気流が発生します。南からの気団は水蒸気を含んでおり、上昇気流によって運ばれて積乱雲を形成し大雨をもたらすのです。
暖気は寒気よりもやや勢力が強いため、梅雨前線は徐々に北上していきます。
梅雨前線は徐々に勢力が衰えていき、北海道に到達する前に消滅することが多いです。北海道に前線がかかっても長い期間停滞して雨が続くことはありません。
そのため、「北海道には梅雨がない」と言われ、『梅雨入り』『梅雨明け』の発表はされないのです。
ただし北海道(特に太平洋側)はこの時期に梅雨前線とは異なる原因で1週間ほど雨が続くことがあり、これを「
詳しくはこちら⇒北海道に梅雨がない理由|蝦夷梅雨(リラ冷え)と梅雨の違いとは?
梅雨があけると日本は暖気(太平洋高気圧)に覆われるため本格的な夏が始まり気温が上がります。
8月下旬~9月になると日本を支配していた暖気が南下し、再び寒気と暖気のぶつかりあう境目が日本で停滞します。これが秋雨前線です。
秋雨前線についても解説しているので、興味があればぜひご覧ください。