冬が近づいてくると天気予報などで「冬将軍が到来しました」などの言葉を聞くことがあるでしょう。
これは日本ならではの表現と思っている人は多いですが、実は語源は海外にあります。
そして日本ではただ気温が下がるだけではなく、は特定の気象現象を指す言葉として使われているのです。
今回は冬将軍の意味や由来などについて詳しく解説していきます。
冬将軍とは?
冬将軍は冬の厳しい寒さを擬人化したものです。語源は日本ではなく海外にあり、英語で「General Winter」や「General Frost」と言われます。(後者は直訳すると“霜将軍”ですが)
日本においては天気予報などで「冬将軍の到来」という言葉を使いますが、これは日本に寒気や雪をもたらす『シベリア高気圧』のこと。冬の気圧配置である西高東低の“西高”にあたるものです。
西高東低の気圧配置が見られる時、シベリアの高気圧から日本に寒気が吹き込み、日本海側では雨や雪をもたらし、山脈を超えた太平洋側では乾いた風(木枯らし)となります。
冬将軍が到来する時期
冬将軍が到来する時期は10月中旬~2月上旬ごろ。要は冬型の気圧配置と言われる西高東低の時期ですね。
日本において西高東低の気圧配置になったことを知らせる『木枯らし一号』が10月中旬~11月に見られ、そこから冬の間は基本的に西高東低の気圧配置が続きます。
冬将軍の由来
冬将軍の由来は1982年のロシア戦役にてナポレオン率いるフランス軍がロシア軍に敗れた様子をイギリスの風刺画家が「GENERAL FROST Shaveing Little BONEY」というタイトルの風刺画で表現したことだとされています。
ナポレオンと思われる人物とフランス軍が化物(GENERAL FROST)に蹂躙される絵です。
当時フランス軍率いるナポレオンはロシアに攻め込みますが、冬の寒さが原因で死傷者が相次ぎ、退却をまぬがれない状況になりました。
冬の厳しい寒さが戦争の結果に大きく影響することは歴史上珍しくありませんが、このとき初めてGENERAL FROST(冬将軍)という言葉が使われたと記録されています。
日本における冬将軍の到来について
日本の冬将軍の到来についてもう少し見ていきましょう。なぜ西高東低だと寒くなるのか?
西高東低は日本の北西に高気圧があり、北東に低気圧がある気圧配置のことを指します。
高気圧は時計回りに風が吹き出し、低気圧は反時計回りに風が吹き込むので、この気圧配置になると日本では北西~北の方角から風が吹くことになります。
この高気圧はヒマラヤ山脈でせきとめられて南側の暖気とは交わらず、シベリアの気温低下により冬の間どんどん発達していきます。この冷たい空気が日本海を渡り日本にやってくるのです。
そして日本海を渡る過程で対馬暖流により水分が供給されます。この空気が日本の山脈にぶつかり上昇気流が発生して積乱雲になり、日本海側に雨や雪をもたらすのです。
山脈を超えれば水分を失い、乾いた空気が太平洋側に吹きつけます。
西高東低の気圧配置により日本海側で雪が降り、太平洋側で強風が吹くのはこのためです。
ちなみに晩秋~冬の時期に太平洋側で吹く北寄りの風を『木枯らし』と言い、その年のはじめに観測された木枯らしを『木枯らし一号』と言います。
木枯らしは西高東低の象徴とも言える現象であり、木枯らし一号は冬の天気に変わったことを知らせる象徴なのです。
木枯らしについてはこちらにさらに詳しく解説しているのでぜひご覧ください。