「重要な連絡を朝礼で周知させる」
「我が社が地域に貢献をしているのは周知の事実」
『周知』とはこのように色々な使い方ができ、非常に汎用性の高い言葉です。
ただしそんなに頻繁に使う言葉というわけでもないため、正しい使い方ができているのか自信を持てない人も多いと思います。
たとえば「周知させる」はよく聞くけど「周知する」という使い方は誤用ではないないのか、『衆知』との違いは何なのか、目上の人に使う場合どう使えばいいのか、などなど。
今回、『周知』の正しい意味や使い方などを詳しく解説していきます。
目次
『周知』の概要
- 意味:広く知れ渡っていること。また、広く知らせること。
- 例文1:「インフルエンザの対策を周知させる」
- 例文2:「ソフトの使い方を皆に周知する」
意味としては大きく分けて2つ。「広く知れ渡った状態」、もしくは「広く知らせる行動」。
多くの場合は前者の意味で使われ、例文1のように「〇〇を周知させる」というように使役形にして使います。そして「周知する」という使い方を誤用であると主張する人も見かけます。
しかし周知には後者の意味をもって例文2のように「〇〇を周知する」というような使い方もできるのです。
「周知する」も「周知させる」も同じように『周りに広く知らせる』という意味になります。
一般的には「周知させる」という使い方をよくしますが、テレビや新聞、さらに国会議事録や白書など厳格な書面でも「周知する」という言葉は使われています。
『周知』の使い方
さらに周知の使い方について詳しく見ていきましょう。
状況に応じて主に4つの使い方に分類されます。
- 周知する、周知させる、周知を図る
- 周知徹底
- ご周知ください、ご周知願います
- 周知の事実
1.周知する、周知させる、周知を図る
周知する、周知させる、周知を図る、これらはすべて同じ意味で、「広く知らせる」、「伝達する」というような意味合いで使われます。
2.周知徹底
周知という語を使った四字熟語に『周知徹底』という言葉があります。
意味は「全ての人にしっかりと知れ渡らせること」なので、言葉の通り周知をもれなく徹底的に行うことを指します。
使う場面は前項の「周知する」などとほぼ変わらず、「周知徹底する」といった使い方です。
3.ご周知ください、ご周知願います
ビジネスシーンなどで敬語を相手に周知の要望をする際に使う表現が「ご周知ください」「ご周知願います」という言葉です。
以下のような使い方をします。
- 「会議の決定を各部署にてご周知ください」
- 「工事の時間帯が変更したので、関係者間でご周知願います」
- 「講義の情報は掲示板に掲載するのでご周知ください」
4.周知の事実
「広く知れ渡っている事実」という意味ですが、「誰もが知っている」「当然のこと」というようなニュアンスで使われます。
話の前置きや相手と一般的な情報を再確認する際に使われることが多いです。
例文は以下の通りです。
- 「眠気で仕事の生産性が落ちるのは周知の事実。眠気対策を今一度考えてみましょう」
- 「痩せる薬がこの世に存在しないことは、今や周知の事実です」
- 「あのアスリートは戦績だけでなく人間性も素晴らしいというのは周知の事実」
『周知』と『衆知』の違いについて
周知と似た言葉に『衆知』というものがあります。
『周』と『衆』は意味も似ているため、『周知』も『衆知』も同じような意味だろうと考える人は多いのではないでしょうか。
しかし、『衆知』とは「多くの人々の知恵」という意味で、周知とは全く異なる意味になります。周知と同じように「情報を衆知する」「衆知の事実」というような使い方はできないのです。
例文としては以下の通り。
- 問題解決のために衆知を集める
『衆知』は「衆知を集める」という表現以外ではあまり見かけません。これ以外では大体『周知』と間違えて使っているパターンですね。
「しゅうち」を漢字変換するときに衆知はわりと上の方に出てくるので、誤変換しないように気をつけましょう。