1分で分かる「十分」と「充分」の違い|使い分け方・例文をご紹介

「“じゅうぶん”楽しんだ」「“じゅうぶん”な量の水を飲んだ」「“じゅうぶん”人が集まった」

このように日常の中でよく使う“じゅうぶん”という言葉ですが、「十分」なのか「充分」なのか悩む人は多いと思います。

そこで今回、「十分」と「充分」の違いや使い分け方について詳しく解説していきます。

十分と充分の違い

結論から言うと、それぞれ以下の違いがあります。

  • 十分:具体的な必要量が満たされている、客観的に見て満たされていると判断できる状態
  • 充分:抽象的な必要量が満たされている、主観的に見て満たされていると判断できる状態

同じ文章でも、
客観的に見て明確に満たされているという判断の場合は“十分”、
主観的に「満たされているな」と判断する場合は“充分”です。

“じゅうぶん”という言葉は、『実際量』が『必要量』を満たしている状態を指しますが、
この『必要量』が具体的な分量なのか、曖昧な分量なのかで変わってきます。

これだけだとよくわからないと思うので、
実際に例をご紹介します。

例文

1.「コップに“じゅうぶん”な量の水が入っている」

これを漢字に変換する場合、状況によって“十分”にも“充分”にもなります。

  1. 料理に200mlの水が必要でコップに水を入れた場合
  2. のどが渇いてコップに水を入れたという場合

1.の場合、明確な分量に対して、客観的に満たされているという判断なので“十分”、
2.の場合、自分が必要だと思う分量に対して、主観的に満たされているという判断なので“充分”を用います。

2.「遊ぶのに“じゅうぶん”な人が集まった」

これも場合によって“十分”にも“充分”にもなります。

  1. 4人対戦ゲームをするために3人の人が必要だった場合
  2. 大人数で遊びたいと思っていた場合

1.のように具体的に必要な人数が定まっていてそれを満たしたという場合は“十分”、
2.のように「多くの人数」という抽象的な必要量に対して、それを満たしたと判断する場合は“充分”を用います。

3.「“じゅうぶん”な時間勉強した」

これも場合によって“十分”にも“充分”にもなります。

  1. あらかじめ1時間という時間を定めていた場合
  2. 特に時間を定めておらず、長時間勉強したという場合

1.のように具体的な目標がありそれを満たしたという場合は“十分”、
2.のように「長時間」という主観的な目標に対してそれを満たしたと判断する場合は“充分”を用います。

詳しい解説

「十分」と「充分」に含まれる、“十”と“充”という漢字を比較してみましょう。

十分の“十”の場合、一、二、三・・・という数字が十まで満たされていることを意味します。
明確に数値として満たされているイメージですね。

充分の“充”場合、充実、充足、充満、充填というような言葉に使われますが、
これらはどれも満ち足りた状態そのものやその状態にすることを指します。
しかしこの満ち足りている状態というものは数値化できない曖昧なものです。

このように“十”と“充”という漢字自体、
具体的かどうか、数値化できるかどうかというところで区別できます。

これを考慮すると“十分”と“充分”の違いも分かりやすいのではないでしょうか。

「じゅうぶん」という言葉は、
『実際の量』が『必要量』を満たしている時に使う言葉です。

“十分”と“充分”という言葉の使い分けは、
この『必要量』が具体的な分量か抽象的な分量かでなされます。

コップの水の場合、必要量が200mlなど具体的であれば“十分”、
漠然とした「これくらいの量」という場合であれば“充分”。

人の場合、必要人数が3人など具体的であれば“十分”、
漠然とした「大人数」という場合であれば“充分”。

時間の場合、必要量が1時間など具体的であれば“十分”、
漠然とした「長時間」という場合であれば“充分”。

このように、「十分」と「充分」は必要量がどのような分量かで使い分けるのです。

あとがき

以上、「十分」と「充分」の違いと使い分け方でした。

どちらを使えばいいのか悩んでいいた人も
今回の説明で理解していただけたのではないでしょうか。

ただ、十分と充分は意識的に使い分けている人は少ないですし、
間違った使い方でも気にする人もいないのかなと思います。

ビジネス文書などかしこまった文章を書く場合、大抵が「十分」となりますし、
一般的には「十分」という漢字が使われることの方が多いです。

なので、迷った時は「十分」の方を使うことをおすすめします。

ただ、時間を表す時に「十分」を用いると、“じゅっぷん”と混同してしまうため、
その点は注意が必要です。

「時間は十分ある」⇒「時間はたくさんある」

というような言い換えを用いるようにしましょう。