「ものを作ること」
これを言い換えると「制作」「製作」「作製」「作成」の4つの言葉が候補として出てきますが、これらはどのように使い分けたら良いか分からない人も多いと思います。
そこで今回、これらの違いを具体例を出して分かりやすく説明していきます。
「制作」「製作」「作製」「作成」の違い
「制作」「製作」「作製」「作成」このややこしい4つの言葉ですが、
これらの違いは“作るものの違い”です。
その境界は曖昧なものもありますが、
それぞれの違いは以下のとおりです。
- 制作:芸術作品などクリエイティブな要素を含むものを作ること
- 例:絵画、小説、漫画、音楽、テレビ、衣服のデザイン
- 製作:クリエイティブな要素を含まないもの、かたちが決まっているものを作ること
- 例:機械、文房具、家具、漫画や小説の印刷作業、CDの量産作業、衣服そのもの
- 作成:書類や文書、システム、ソフトウェアなど形がないものを作ること、内容に重点を置いている場合に用いる
- 例:「企画書の内容を作成」「デザイナーがポスターを作成」
- 作製:『製作』とほぼ同意だが規模は小さい。『作成』と同様の意味でも使われるが、これと比べると大量に作ることを重点に置いている場合に用いる
- 例:「企画書のコピーを作製」「配布用ポスターを作製」
これらの中でもややこしいもの、
- 「制作」と「製作」
- 「製作」と「作製」
- 「作成」と「作製」
について使い分け方を詳しく解説していきます。
「制作」と「製作」の使い分けについて
制作と製作の使い分けは業種によって決まり事があったりして、曖昧なことが多いため、
非常に難しいです。
特に映画においては特別で、映画のジャンルによって使い分けられたり、
映画を作る人の中でも製作者と制作者に分かれたりもします。
■映画における使い分け
- 娯楽映画:製作
- 芸術映画:制作
- 映画の中身を作ること:制作
- 出資・企画・資金調達・宣伝など:製作
また、テレビにおいても実際に中身を作ることを制作、
放送局のことを製作会社といったりします。
こういう例外を除いて一般的な使い分け方を判断する場合は、
作るものが製造物であるかどうかを考慮すると分かりやすいかもしれません。
機械や家具など、店頭に並ぶものなどは製造物ですが、
絵画などの芸術作品を製造物というのは違和感を覚えるはずです。
製造物とは、主に工業において原材料を加工した後の完成品のことを指します。
「製作」の方を使う場合、
完成品としての形が定まっているというのが重要ですね。
一方「制作」の場合、形が定まっていないものを創造して形にする、
その過程のことを指します。
「製作」と「作製」の使い分けについて
製作と作製についてはほぼ同意なので、
少しのニュアンスの違いしかありません。
「製作」の方は人数や日数をかけたり、大がかりな機材で大量生産したり、
規模が大きい場合に使われたりします。
たとえば、
「工場で冷蔵庫を作製する」と言ったら手軽過ぎますし、
逆に「折り紙で鶴を製作する」と言ったら大げさな感じがするかと思います。
しかし、「クラスのみんなで千羽鶴を製作する」という場合はあまり違和感はないのではないでしょうか?
このように、製作と作製は規模によって使い分けるのです。
ただし、『○人以上なら製作』『○日以上なら製作』『〇〇を作る場合は作製』
などといったルールはなく、違いは非常に曖昧です。
なので使い分けとしては、
そこまで神経質にならず、違和感が生じないようにだけすれば良いでしょう。
「作成」と「作製」の使い分けについて
作製は作成と似た場面で使うこともあるので、
これの使い分け方についても説明していきます。
「プレゼン資料を“さくせい”する」
「計画書を“さくせい”する」
「テスト問題を“さくせい”する」
「ポスターを“さくせい”する」
こういった文章では、
状況によってどちらを使うのかが変わってきます。
「作成」は実際には形がないものを作る時に使われることが多いです。
PC上での文書やホームページ、デザイン、システム、ソフトウェアなど、
これらは「作成」するものです。
上の例でも、プレゼン資料や計画書など、
内容を考えて作る場合「作成」を使います。
これに対し、「作製」は作成したものを実際に印刷して形にしたり、
それを大量に作ったりするときに使います。
上の例でも既にデータとして作成したプレゼン資料や、
内容が決まっているテスト問題などを形にする場合、「作製」になります。
「作成」とは、内容を作ることを指し、
「作製」はそれを実物にすることをことを指すのです。