「人間万事塞翁が馬」の読み方や意味&使い方を例文で解説

「人間万事塞翁が馬」

高校の国語の教科書に漢文の題材として載っている故事です。

日頃たまに目にするかと思いますが、正確な意味を知らない人も多いのではないでしょうか。

しかし、この言葉は人生の教訓にもなるほど素晴らしい意味を持った言葉なので、知らなかった人はぜひこれを機に覚えておくといいでしょう。

「人間万事塞翁が馬」の概要

  • 読み方:にんげんばんじさいおうがうま
  • 意味:人生の幸不幸は予測できない。幸せが不幸に、または不幸が幸せに転じるかもしれない。
  • 使い方
    1. 「恋人に振られたからと言ってそう落ち込むことはないさ。“人間万事塞翁が馬”って言うように、もっといい人に出会えるよ」
    2. 「いい大学に入れたからと言って、浮かれてばかりいないで勉強も頑張らないといけない。“人間万事塞翁が馬”って言うしね」
  • 由来:塞翁という老人が所有している馬がもたらす出来事は、一見良いと思われることでも後々悪いことに転じたり、逆に一見悪いことに思われることでも後から良いことに転じたりしたことからこの故事が生まれた

読みに関して、人間を【じんかん】と読むこともありますが、
一般的には【にんげん】と読むことのが方が多いです。

『人間塞翁が馬』『塞翁が馬』と省略されることもあります。

ちなみに『塞翁が馬』と言うと「塞翁=馬」という図を思い浮かべるかもしれませんが、
ここでは「塞翁の(所有している)馬」という意味です。

『君が代』を「汝の治世」と訳すように、
古文の“が”は所有を表すことがあります。

意味や使い方の解説

要は人生何が起きるか分からないという意味ですが、使い方としては、
何らかの出来事に対して落胆や悲観、または楽観している人に、
励ましたり忠告したりするのに用います。

悪い出来事にあった人には、
「その出来事は良いことに繋がるかもしれない」という慰めの意味で使い、

良い出来事があった人には、
「その出来事が悪いことに転じるかもしれない」という戒めの意味で使います。

「人間万事塞翁が馬」の由来

「人間万事塞翁が馬」という故事は、昔の中国のとある出来事から生まれました。

塞翁が所有する馬が色んな事をもたらし、それらが二転三転することから、
「人生物事がどのように転じるか分からない」という意味でこの言葉が使われるようになったのです。

「淮南子(えなんじ)」という中国の書物に書かれている話ですが、
この話をまとめると以下のとおりです。

  • 塞翁の馬が胡(地方の名前)に逃げてしまう
  • 人々はこれを哀れむ
  • 塞翁は「これが幸福に変わるかもしれない」と言う
  • 塞翁の馬は胡から良い馬を引き連れて帰ってくる
  • 人々はこれを祝福する
  • 塞翁は「これが不幸に変わるかもしれない」と言う
  • 塞翁の息子が引き連れられて来た馬に乗っている時に落ちて骨折してしまう
  • 人々はこれを哀れむ
  • 塞翁は「これが幸福に変わるかもしれない」と言う
  • しばらくして胡から異民族が攻めてきて戦争が起こり多くの人が死んだが、骨折した息子は怪我を理由に徴兵されずに無事だった

このことから、
「人生何事も塞翁の馬のようにどちらに転じるか分からない」という例えとして、
『人生万事塞翁が馬』という故事が生まれたのです。

あとがき

以上、『人間万事塞翁が馬』の意味や使い方、由来を解説していきました。

主に“慰め”、“戒め”の2つの意味がありますが、
前者の慰めの意味で使うことが多いですね。

人生には嫌なことがあったり、挫折したりすることが多いですが、
この言葉を思い出したら気持ちが楽になることは多々あります。

私自身、受験に一度失敗して落ち込んでいた時、
「この失敗のおかげでより良い大学に入れるきっかけができたじゃん。塞翁が馬だよ」
と親に励まされ、その言葉を糧に実際に良い結果を得ることができました。

この言葉は人生の教訓にもなる言葉なので、
ぜひ人を励ます際などにおすすめです。