インフルエンザに感染したら病院へ行き、薬を処方してもらうのが一般的ですが、どうしても病院へ行けない理由がある場合は自然治癒だけで完治させることも可能です。
病院へ行かないのはお金や手間がかからず体力を使わないというメリットがある一方、当然大きなデメリットもあります。
今回は自然治癒だけでインフルエンザ完治させる場合のメリット・デメリットに加え、完治までの期間や方法について解説していきます。
目次
インフルエンザの自然治癒は可能
インフルエンザになった場合、
普通は病院へ行き、抗インフルエンザ薬を処方してもらい、自宅で安静にします。
これが一般的なインフルエンザの対処法ですが、
病院や薬に頼らずに自宅で自然治癒させることも可能です。
病院や薬ではインフルエンザを治すことはできず、
基本的に自身の免疫力による自然治癒で回復させるものだからです。
ただし、当然、病院や薬にはそれぞれ重要な役割があるので、
それを頼らないとなると大きなデメリットも生じます。
インフルエンザ感染時の病院の役割
そもそもインフルエンザにかかった際になぜ病院へ行く人が多いのでしょうか?
インフルエンザの際に病院へ行くのはいろんな理由があります。
- インフルエンザの検査
- インフルエンザの診断書(学校や会社に証明のために必要になる)
- 抗インフルエンザ薬の処方(市販されていない)
- 症状が酷い場合は合わせて他の薬も処方してもらえる
- インフルエンザの対応に関する適切な指導
抗インフルエンザ薬の役割
病院で処方される抗インフルエンザ薬はウイルスを撃退する効果はありませんが、
ウイルスの増殖を防ぐことができます。
早く服用することで症状の悪化を抑えることができ、
完治を早めることもできるのです。
なので抗インフルエンザ薬に頼らないとなると、
症状の重症化や合併症のリスク、さらに完治までの期間の遅延などのデメリットが伴います。
ちなみにインフルエンザウイルスの数は発症から48時間くらいでピークを迎えるので、
それより前に抗インフルエンザ薬を服用することが推奨されています。
現在主に病院で使われているインフルエンザ薬は、
タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタの4種類ですが、以上の性質はいずれも同様です
服用方法や服用回数、服用推奨年齢がそれぞれ異なります。
詳しくはこちら
⇒インフルエンザの治療薬の効果と種類の違い
病院や薬に頼らないことで生じるデメリット
以上を踏まえた上で、病院や薬に頼らない場合のデメリットをまとめると以下の通り。
- 本当にインフルエンザなのかどうかが分からない
- 診断書がもらえない
- 抗インフルエンザ薬が服用できない(症状の重症化や長期化のリスク)
- 症状に合わせた薬を処方してもらえない
- 自分の判断のみで処置しないといけない
症状の深刻化や長期化、
そして素人判断で処置しないといけないというのは大きなデメリットとなり得ます。
病院や薬に頼らないメリット
では逆に病院や薬に頼らないことにどんなメリットがあるのでしょうか。
まとめると以下の点が挙げられます。
- (インフルエンザではなかった時)インフルエンザをうつされるリスクが減る
- 外出による体力を使わない
- 抗インフルエンザ薬の副作用の心配がない
- お金がかからない
「実は単なる風邪だけど、インフルエンザの検査のために病院へ行きうつされた」
こういうようなケースはあります。
なので検査のために病院へ行くという場合、
「念のために検査する」というような安易な気持ちで行くのは控えたほうがよいです。
それ以外のメリットについては、人によって感じ方も違うかと思いますが、
病院へ行かないデメリットに比べたら小さいものではないでしょうか。
もちろん、どうしても病院へ行けない理由がある場合や、
金銭的に厳しい場合など人によって事情もあるかと思います。
インフルエンザの自然治癒の期間
続いて、インフルエンザの自然治癒で完治するまでに要する期間についてです。
抗インフルエンザ薬を服用しないと体内のウイルスが増え続けるため、
高熱や頭痛などの初期症状が中々治まらず、完治までの期間が長引きます。
抗インフルエンザ薬を服用した場合と、服用しなかった場合の完治までにかかる期間の目安は以下の通り。
- 抗インフルエンザ薬服用:1週間~10日前後
- 自然治癒のみ:10日~2週間
インフルエンザの出席・出勤停止期間
インフルエンザにかかったら、いつから登校・出勤できるのでしょうか。
保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校・大学などに通う園児や学生には、
「学校保健安全法」で定められた「出席停止期間」に従う必要があります。
会社の場合は定められた規則は様々なので、
自分の会社の就労規則を確認する必要がありますが、
学生の出席停止期間と同様に定められている会社は多いです。
そこで出席停止期間について解説します。
インフルエンザに感染した時、以下の期間が出席停止期間として定められています。
- 小学校・中学校・高校・大学:発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日を経過するまで
- 保育園・幼稚園:発症後5日を経過し、かつ、解熱後3日を経過するまで
前者の学生の出席停止期間について表にまとめると以下の通り。
解熱日\経過 | 発症日 【12/1】 | 1日経過 【12/2】 | 2日経過 【12/3】 | 3日経過 【12/4】 | 4日経過 【12/5】 | 5日経過 【12/6】 | 6日経過 【12/7】 | 7日経過 【12/8】 | 8日経過 【12/9】 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
発症から2日後 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
発症から3日後 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
発症から4日後 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
発症から5日後 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
:発熱、
:平熱、
:登校可能
インフルエンザ発症日から3日目以内に平熱に下がった場合、
発症から6日後に登校ができるようになります。(12/1発症で12/4の内に平熱に戻ると12/7から登校可能)
インフルエンザ発症から4日経過してから平熱に戻った場合、
平熱に戻ってから3日後から登校できるようになります。
園児の場合、最短で6日後から登園できるというのは同様ですが、
それは2日目以内に平熱に下がった場合です。
それ以降は平熱に戻ってから4日後から登園できるようになります。
会社の場合は学生の出席停止期間に従うことが多いですが、
会社次第なので担当部署に問い合わせる必要があります。
また、診断書が必要か否か、
休みの期間の扱われ方(有給or休暇or欠勤)などは会社によって異なるため、
出勤停止期間と同時に確認しておきましょう。
インフルエンザを自然治癒だけで治す方法
病院や薬に頼らず自然治癒する際のポイントについて説明していきます。
大事なのは「栄養」と「睡眠」
薬の服用の有無に関係ないですが、
インフルエンザを治すためには自身の免疫力を高めることが重要で、
そのために必要なのか“栄養”と“睡眠”です。
特にインフルエンザで体力が低下している時は食べられるものが制限されるので、
きちんと栄養を考えて食事を摂る必要があります。
摂取しやすいものからカロリーや栄養を補給するのが重要です。
- 水分
- 消化に良いもの
- 栄養価が高いもの(たんぱく質・各種ビタミン)
- カロリー(糖質)
- 喉に良いもの
食欲が無い場合は水分でカロリー・栄養補給しましょう。
具体的におすすめな食品や飲料についてはこちら。
⇒インフルエンザに感染した際に摂るべき食事&飲み物一覧
熱や頭痛が酷い場合の対処法
薬に頼らないとなると、初期症状の熱や頭痛がより酷くなったり、長引いたりします。
熱や頭痛は白血球の働きが活発になり治療が迅速に進行しているシグナルでもありますが、
あまりに酷い場合は睡眠や食事の妨げとなり体力低下に繋がるので対処する必要も出てきます。
どうしても我慢できないという場合は市販の解熱剤を使わざるを得ませんが、
それは最終手段です。
まずは血管を冷やして収縮させましょう。
頭痛は脳内の血管が膨張して脳神経が圧迫されるのが原因なので、
冷やして血管を冷やすことで頭痛を抑制することができるのです。
血管が浅い位置にある“両脇の下”や“首すじ”を氷または保冷剤で冷やすのが効果的です。
これがいまいち効果がないという場合に解熱剤を使用しましょう。
ただし、市販の解熱剤の中にはインフルエンザ脳症のリスクを高めるものもあるので、
きちんと安全なものを選ぶ必要があります。
以上のことに関しては詳しくはこちら。
⇒インフルエンザの頭痛の原因と対処法|簡易的な方法と最終手段
咳・痰・喉の痛み・鼻水など呼吸器系の症状の対処法
インフルエンザの場合、初期症状として呼吸器系症状は現れにくいのですが、
熱や頭痛が治まったと同時に現れるのが一般的です。
熱や頭痛は引いて苦痛も和らぐ頃ですが、
まだまだウイルスは体内に潜伏しているため、油断してはいけません。
人にうつしてしまう可能性もありますし、
喉が炎症を起こしており体力が低下している場合が多いため合併症の危険性もあります。
呼吸器系の対処法についてまとめると以下の通り。
- 部屋の湿度管理の徹底(50~60%)
- 水分をしっかり摂る
- 殺菌作用のあるものを口にする
- 栄養・休養をしっかり摂る
- 症状が酷い場合・長引く場合は病院へ行く
- 部屋の湿度管理の徹底(50~60%)
- 水分をしっかり摂る
- 蒸しタオルで鼻を温める
- わきの下に圧力を加える
- 鼻うがいをする
- 息を止める
詳しくはこちら。
⇒インフルエンザの熱が下がった後の症状|咳・鼻水・喉の痛みの対処法
あとがき
以上、薬や病院を頼らずインフルエンザを自然治癒させるための期間や方法についてでした。
病院へ行かないのはやむを得ない場合もあるかと思いますが、
症状の深刻化、長期化などのデメリットがあまりに大きいのでおすすめしません。
特にインフルエンザ脳症や異常行動が発症しやすい15歳以下の子どもや、
妊婦、授乳中の女性、持病がある人などは危険なのできちんと病院へ行きましょう。
■インフルエンザの記事一覧
《基礎知識》
《予防》
《治療》
- インフルエンザの検査方法
- インフルエンザの際に摂るべき食事・飲み物
- インフルエンザ薬
- 元の生活に戻るまでの期間
- インフルエンザの症状の対処法