インフルエンザには色んな症状がありますが、中でも常にズキズキと痛みが走る“頭痛”は代表的な症状として挙げられます。
インフルエンザの初期症状として患者を苦しめる一番の原因になり、眠れない程頭痛が酷い場合も珍しくありません。
しかし、間違った対処法を選択するとインフルエンザの完治が遅れるだけでなく、インフルエンザ脳症のリスクを高めてしまうこともあります。
そこで今回はインフルエンザの頭痛の原因や対処法について詳しく解説していきます。
インフルエンザの頭痛の原因
頭痛は感染者にとっては辛い症状ですが、
実は体内の免疫がウイルスを撃退する上で生じている反応です。
具体的にインフルエンザ時の頭痛の原因は以下の2つが挙げられます。
- ウイルス撃退のために体温上昇&白血球を送り出すために血流増加
⇒脳内の血管が膨張し脳神経が圧迫される - ウイルス撃退の過程で生じる「プロスタグランジン」の血管拡張作用や発痛増強作用
このように頭痛はインフルエンザの治療が行われている証拠であり、
ウイルスを退治する上で避けられない症状でもあるのです。
我慢できるのなら我慢するに越したことはありません。
しかし、頭痛が原因で眠れないとなったら体力低下に繋がりますし、
耐えられない痛みが生じることもあるでしょう。
そんな時の対処法について説明していきます。
耐えられない程の頭痛の対処法
インフルエンザの際の頭痛には主に2つの対処法があります。
- 血管を冷やして収縮させる
- 解熱剤を飲む
では具体的に説明していきます。
対処法1.血管を冷やして収縮させる
体温が上がって血管が拡張することで頭痛が生じているので、
逆に冷やして血管を収縮させると痛みが緩和できます。
簡易的な手段であり、長時間行わなければウイルスの撃退に悪影響はあまりないので、
まずはこの方法を試してみましょう。
脳内の血管を収縮させるためには、
血管が浅い位置にある“両脇の下”や“首すじ”を冷やすのが効果的です。
間違いやすいのですが、
首の後ろではなく首の側面です。
脇の下は胸の側面や肋骨側ではなく上腕側の血管を冷やすのが目的です。
脇の下が冷やしにくければ脇に近い上腕を冷やしましょう。
冷やす方法としては、『氷』や『保冷剤』などを用います。
冷えすぎないようにタオルで包むなどして脇や首筋にあてましょう。
ちなみに、貼付型冷却材(「熱さまシート」や「冷えピタ」など)は解熱効果はほとんどないのでおすすめしません。
貼付型冷却材は“冷感”を与える効果はあるものの、
実際に熱を奪うことができないので血管を収縮させることができないのです。
氷1個分程しか解熱効果がないとされています。
また、熱の際にはおでこを冷やすのが一般的ですが、
これも血管を収縮させる効果はあまりありません。
ただ、気持ちがよく楽になる効果はあります。
対処法2.解熱剤を飲む
高熱が出るということは体内で迅速にウイルスの駆除が進行しているということなので、
それを妨げる解熱剤はインフルエンザ治療を遅らせることに繋がりかねません。
なので一般的に解熱剤は安易に飲むべきではないとされています。
首筋や脇の下を冷やしても眠れないほどの頭痛が続く場合など、
解熱剤は最終手段として用いるようにしましょう。
また、用いる解熱剤にはインフルエンザ脳症のリスクを高めるものもあるので、
注意する必要があります。
安全なもの、危険なもの、グレーなものを分類すると以下の通り。
成分 | 製品例 | |
---|---|---|
安全 | アセトアミノフェン | タイレノールA、ラックル、小児用バファリンチュアブル |
イブプロフェン | イブA錠、ノーシンピュア | |
漢方 | 麻黄湯、葛根湯、銀翹散 | |
危険 | アセチルサリチル酸(アスピリン) | バファリン、ケロリン |
エテンザミド | ナロンエース、ノーシン、セデス | |
ジクロフェナク | ボルタレン、ナボール | |
メフェナム酸 | ポンタール | |
グレー | ロキソプロフェン | ロキソニン |
市販されている一般的な解熱剤でも、
バファリンやケロリン、ナロンエース、ノーシン、新セデス錠など危険なものは多くあるので要注意。
ロキソニンはインフルエンザ脳症との関係性は認められていませんが、
効果が強力なので20歳未満は使用を控えるべきとされています。
解熱剤に関してはこちらにより詳しく解説しています。
⇒インフルエンザ時に使える解熱剤の種類&危険な市販薬一覧
あとがき
以上、インフルエンザの頭痛の原因と対処法についてでした。
インフルエンザの頭痛は辛い症状の一つですが治療に向かっている証拠なので、
どうしても我慢できない場合に体を冷やしたり解熱剤を使ったりしましょう。
インフルエンザを完治させるためには、
抗インフルエンザ薬をしっかり服用し、栄養と休養をしっかり摂るというのが重要です。
経過とともに注意すべき点などをまとめたので、
ぜひこちらもご覧ください。
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