インフルエンザは初期症状として高熱が出るのが一般的ですが、あまりに症状が思い場合や頭痛がひどくて眠らない場合などは市販の解熱剤は使用します。
しかし、市販の解熱剤の中にはインフルエンザ中でも安全に服用できるものもあれば、合併症のリスクを高める危険なものもあります。
今回はインフルエンザ時に使用できる解熱剤と使用できない解熱剤をご紹介していきます。
解熱剤は使わない方が良いのか?
インフルエンザで熱がつらい時や頭痛がひどい時、
市販の解熱剤は使用してもよいのでしょうか。
これは状況にもよりますが、
インフルエンザ治療のためには解熱剤は使用しないのが望ましいです。
高熱の状態は非常につらいですが、
これにより体内ではインフルエンザの治療が迅速に行われているので、
解熱剤で熱を下げると治療を遅らせることに繋がるのです。
インフルエンザの高熱は、
ウイルスの増殖を抑制、ウイルスに対抗する白血球の活性化、ウイルスへの免疫力向上、
などの作用があります。
高熱もインフルエンザの初期症状で、
早ければ1日、通常2~3日もすれば下がるので、十分体力があれば解熱剤を使うべきではありません。
ただ、39℃や40℃程の高熱が出て耐えられないほどつらい場合、
頭痛で眠れないなどという場合には解熱剤を使いましょう。
インフルエンザの治療を早めることはありませんが、
つらい症状を緩和することができます。
高熱が原因で睡眠が取れなかったり、食事が摂れなかったりすると、
体力低下に繋がり逆に治療の妨げになることもあるので、
無理に我慢する必要もないのです。
また、病院で処方される『タミフル』や『リレンザ』などの抗インフルエンザ薬との併用も可能です。
解熱剤の種類
市販の解熱剤はどれでも使用できるというわけではなく、
中には「インフルエンザ脳症」の原因となる成分を含むものもあるため、
きちんと安全なものを選ぶ必要があるのです。
市販薬を安全・危険・グレーにわけると以下のようになります。
成分 | 製品例 | |
---|---|---|
安全 | アセトアミノフェン | タイレノールA、ラックル、小児用バファリンチュアブル |
イブプロフェン | イブA錠、ノーシンピュア | |
漢方 | 麻黄湯、葛根湯、銀翹散 | |
危険 | アセチルサリチル酸(アスピリン) | バファリン、ケロリン |
エテンザミド | ナロンエース、ノーシン、セデス | |
ジクロフェナク | ボルタレン、ナボール | |
メフェナム酸 | ポンタール | |
グレー | ロキソプロフェン | ロキソニン |
インフルエンザ時に安全な解熱剤
インフルエンザの際に安全に服用できる成分は、
『アセトアミノフェン』と『イブプロフェン』です。
具体的な商品を挙げていきます。
アセトアミノフェン・・・タイレノールA、小児用バファリンチュアブル、ラックル
イブプロフェン・・・イブA錠、ノーシンピュア
アセトアミノフェン&イブプロフェン・・・バファリンルナ
安全なこれらの成分を含む解熱剤の中にも危険な成分を含む商品もあるので、
できれば安全な単一成分のもの、もしくは上記に上げた商品を選ぶとよいでしょう。
そして、解熱効果のある『漢方』もおすすめです。
漢方は西洋薬と比べると副作用が少ないため、
安全に服用することができます。
解熱作用があり、なおかつ安全な漢方は以下のものが代表的です。
麻黄湯(まおうとう)、葛根湯、銀翹散(ぎんぎょうさん)
ただ、漢方と行ってもアレルギーや副作用がまったくないというわけではないので、
しっかり症状の経過を観察して悪影響が出ていないことを確認する必要があります。
インフルエンザ時に危険な解熱剤
一部の解熱剤の成分は「インフルエンザ脳症」の原因となるため、
インフルエンザ中は禁忌とされています。
インフルエンザ脳症とは毎年乳幼児を中心に数百人程度が発症している合併症で、
子供の患者の場合死亡率が約30%にもなる恐ろしい病気です。
根本的な原因は判明していないのですが、
過去の発症例から一部の解熱剤を使用した場合にかかりやすいことが分かっています。
『アセチルサリチル酸(アスピリン)』『エテンザミド』『ジクロフェナク』『メフェナム酸』。
この中で現在市販されている飲み薬はアセチルサリチル酸とエテンザミドの製品です。
アセチルサリチル酸・・・バファリン、ケロリン
エテンザミド・・・ナロンエース、ノーシン、新セデス錠
このように誰でも耳にしたことがあるような有名な市販薬でも、
インフルエンザ時には危険なものもあるので注意しましょう。
インフルエンザ時に注意が必要な解熱剤
ロキソニン(ロキソプロフェン)はインフルエンザ脳症との関連性は認められていませんが、インフルエンザ時の解熱剤として使うのはグレーとされています。
インフルエンザ時の危険性は報告されていない反面、安全性もはっきりと分かっていないこと、
そして他の解熱剤と比べて解熱効果が強いことなどが理由です。
20歳未満はインフルエンザ脳症の発生率が高いため、
ロキソニンは控えるべきとされています。
未成年の場合は、
それよりも解熱効果が穏やかで安全な『アセトアミノフェン』や『イブプロフェン』の製品を服用しましょう。
あとがき
以上、インフルエンザ時の解熱剤についてでした。
以下の2点はしっかり把握してから解熱剤を使いましょう。
- 解熱剤は基本的にインフルエンザ治療を遅らせる
- 解熱剤は安全なものと危険なものがある
高熱により睡眠がしっかり摂れなかったり、
食事が摂れず体力が低下したりもするので、
状況によっては解熱剤がインフルエンザ治療に必要な時もあります。
ただ、いずれにしても解熱剤自体にはウイルスに対抗する効果はないので、
病院でしっかりインフルエンザの治療薬を処方してもらうのが重要です。
インフルエンザの治療薬の詳細はこちら。
インフルエンザの治療薬の効果と種類の違い(タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタ)
また、インフルエンザにかかった時の対処法についてもまとめているので、
ぜひこちらも合わせてご覧ください。
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